2014-01-01から1年間の記事一覧

移転リニューアルのお知らせ

読者各位 『そして私はひとりになった』運営者の藤永です。本ブログにおいて、読者に語りかけるような文体は初めてなので、ちょっとドキドキです。 さて、この度、Word Press(『そして私はひとりになった(hyper)』)へ移転することになりました。はてなダイ…

記憶の箱

朝、目が覚めてベッドから這い出すと、何かよくないことが待ち受けているような不吉な予感がした。前の晩にベッドに入ったときには、わけもなく心が浮き立っていて、どう考えてもこの先には絶望の楽園か、幸福の断崖絶壁しか待ち受けていないというのに、翌…

その夜、パーティで

霧雨の降る肌寒い夜、街外れに立つ奇妙な黒いビルは地上からのライトに照らされておぼろに佇んでいた。正面玄関の脇には大黒天の石像が鎮座し、柔和さのなかに不気味さを秘めた笑みを浮かべて来客を迎えている。大黒天の横の正面玄関前には小さな車寄せが設…

カップからあふれたコーヒー、割れたソーサー

アクシデントというのは実に厄介なものだ。不利益を被るだけでなく、ときにはアクシデントに直面したときの行動によって、自らの本性をさらけ出してしまう。冷静さと温厚さを兼ね備えているように思えた人が、自分のエゴにかかわる問題になると、怒りを制御…

間違われた電話は最後に笑う

本当は必要ないのに、見栄のために持っているものは多い。ときにはほんの少しでいいものを必要以上に持っていることもある。それでも見栄で持っているということは、自分の意思であるから理不尽さは感じない。これが見栄ではなく、尊敬や信用を得るために持…

ネギ泥棒と春の宴

北風が吹き荒れる寒い夜、わたしは家路を急いでいた。トラックや乗用車が車道をときおり通り過ぎる以外は音らしい音もなく、しんと静まり返っている。四方八方から忍び寄る冷気がひび割れる音や、夜空を支配する星のきらめきく音が聞こえてくるようだった。…